その目論見に反して、マルチプランはライバル製品「ロータス1-2-3＊」に逆転されてしまう。だがゲイツはあきらめず、次は「エクセル」で対抗する。ワープロソフトでは、「マイクロソフト（MS）ワード」を生み出してワードスターやワードパーフェクトといったソフトを追撃した。90年代に入ると、パソコンの価値はCPU＊とソフトによって支配され、ハードは価格競争の時代に突入する。コンパックが1000ドルPCを打ち出し、低価格競争はますます激化していく。時代の進行と共にゲイツの読みは次々と的中していく。ウィンドウズ95、そしてウィンドウズ98というOSを持つことの優位性をゲイツは予見していた。それはアプリケーションの競合他社がOSを持たず苦戦したことと対照的だった。ゲイツの予見通り、ウィンドウズはマイクロソフト製アプリケーションの背中を強力に後押しし、エクセルとワードは市場でシェアを急速に伸ばしていった。さらに、90年代後半からはOSをプリインストールするという販売戦略が功を奏し、安定的な売上がマイクロソフトにもたらされた。OSだけでなく、ワードやエクセルなどのアプリケーションもプリインストールされ、売上がパソコンの出荷台数の伸びと共に増える仕組みが完成したのだ。ゲイツの読みはまんまと的中し、ソフトウェア市場を支配することに成功したのだった。